【短編】今夜、きみと最後のキスを
なに?

どうしたの?


不思議に思いながらも俊太くんの方に向き直った時。



「直樹にーちゃん!」

ぬかるんだ芝生の上を走る俊太くんが視界に飛び込んできた。


「走っちゃダメっ!」


そう叫んだ瞬間、俊太くんは芝生に足元を取られて飛び石に向かって体が傾いた。


その一瞬はすべてがスローモーションみたいに見えた。



だけどあたしは気づいた時には駈け出していて、俊太くんを胸に抱きかかえていた。



「……ぃったー」

「ふえっ……うわぁん!」

「俊太くん!? どっかぶつけた? どっか痛い!?」
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