【短編】今夜、きみと最後のキスを
突然泣き出した俊太くんにびっくりして、膝とか腕とか調べてみたけど、どこも血が出ているところはないみたい。


「俊太くん。痛いところ、ない? 大丈夫?」


髪をなでながら落ち着いた声で聞いてみると、しゃくりあげながらも黙って首を振った。



「よかったぁー」

本当に安心して、思わずぎゅっと抱き締めた。

「里佳ねーちゃん、痛いってば」




「よくない」


……後ろからする、今まで聞いたことのない低い声。

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