【短編】今夜、きみと最後のキスを
「いや、それは、その……」


ベッドに腰かけてる直樹くんと、その横にあるイスに座ってるあたし。


「こないだきつく言い過ぎたことを、謝ろうと思ったら……中庭に向かって走り出したから、その……」

「……」


見下ろされるような格好で、どんどん小さくなる声。

あたし、なんで怒られてるの?


「転んだらマズいと思ったから、それで……体が勝手に……」

「──で、気づいたら俊太抱えて泥だらけだった、と」


「……ハイ」

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