【短編】今夜、きみと最後のキスを
しゅんとして上目遣いに直樹くんを見ると、彼は呆れたように大きくため息をついた。



……怒られて、呆れられて。

おまけに服は泥だらけだし、パーカーまで借りちゃって。


自分が情けなくて泣きそうだ。



「──はぁぁ……」

もう一度吐き出された大きなため息。


「心配した。俊太もそうだけど、里佳のこと」


「…………え?」

「里佳が俊太の危険を考えたみたいに、オレだって里佳の危険を考えたんだからな。石に頭ぶつけたらどうしよう、とか」


「……ごめん、なさい……」


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