【短編】今夜、きみと最後のキスを
「お父さんが退院したら、里佳はもうここには来ないの?」
「……え?」
「もしそうだったら、ちょっと寂しいな、と思って」
「……」
隣りに座る直樹くんを見ると、前を向いたままの顔が赤く染まっている。
それは、夕日のせい?
それとも──……。
「里佳とは、病院の中でしか会ったことないよね?」
「う、うん」
「外にいる里佳は、どんな感じ?」
「どんなって?」
「どんな学校に行って、どんな友達がいて、どんな生活をしてて……って、オレ、外にいる里佳のこと、なにも知らない」
「……え?」
「もしそうだったら、ちょっと寂しいな、と思って」
「……」
隣りに座る直樹くんを見ると、前を向いたままの顔が赤く染まっている。
それは、夕日のせい?
それとも──……。
「里佳とは、病院の中でしか会ったことないよね?」
「う、うん」
「外にいる里佳は、どんな感じ?」
「どんなって?」
「どんな学校に行って、どんな友達がいて、どんな生活をしてて……って、オレ、外にいる里佳のこと、なにも知らない」