【短編】今夜、きみと最後のキスを
「ちょっ、直樹く……」

彼はあたしの返事を聞くことなく、小川さんと一緒に病室に入ってしまった。


「……」


いいのかな……?

あまり調子よくなさそうなのに。


本当は行かない方がいいのはわかってる。


でも、一方的だけど約束してしまった手前、行かないわけにもいかない。

だって、屋上で待ちぼうけさせる方がもっと体調悪くなっちゃうと思ったから。





約束の時間のちょっと前、あたしは言われた通り救急の入口に立っていた。

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