【短編】今夜、きみと最後のキスを
あわてて口元を押さえた。

つい口をついて出た言葉。


あたしは……外でもデートしたいよ?


直樹くんさえよかったら、だけど。



「海、行ってくれる?」

「……いいよ」


「じゃあ、頑張って退院できるようにしないと」

後ろに手をついて月を見上げながら言った。


「うん」

あたしも直樹くんと同じように月を見上げる。



今日は満月だ。


月の光が明る過ぎるのか、星が少なく見える。




「ねぇ、里佳」

「ん?」


「里佳の夢はなに? ……ケホッ」

「夢?」


「そ。夢」

そう言われて思わず手をあごに当てた。

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