【短編】今夜、きみと最後のキスを
あたしの、夢……。



「──保育園の先生、かな」

「保育園の先生?」


「うん。子供好きだし」

「俊太にも遊ばれてるもんな」


「そう……ってヒドイ!」

「ははっ……」


ぷいっと顔をそむけると、スーっと伸びてきた手が目の前を横切って、あたしの頬をなでた。



「里佳」

ピクン

突然触れた柔らかな指先に、思わず肩が跳ねる。



「もっとこっち来て?」

「……」


抵抗する理由はもちろんなくて、その手に引き寄せられるように距離を縮めた。



小さく微笑んで、首を傾け、近づいてくる顔に自然に目を閉じる。

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