【短編】今夜、きみと最後のキスを
直樹くんの声が耳からも聞こえてくるし、密着している体からも振動で伝わってくる。


なんだか不思議な感じだった。



「直樹くんは?」

「え?」


「夢。なに?」


「……」


考えているのか返事がない。

その間も胸の鼓動は早いまま。





「大切な人を守れる力が欲しい、かな」


「……え?」


顔を上げると、優しい笑顔の直樹くんと目が合った。



「里佳」

「……」



「──ごめんね」

「……」





なぜか謝られて、それから重なった唇──。

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