【短編】今夜、きみと最後のキスを
一階分降りたところでバタバタと聞こえた足音に振り返ると。
「里佳ちゃん!」
「小川さん!? なおっ……直樹くんがっ!!」
屋上かっ、と投げ捨てるように言って、小川さんは階段を駆け上がった。
「直樹くん!」
あたしが屋上に着いた時。
あたしを追い抜いたお医者さんと小川さんが直樹くんを抱き上げて階段を降りるところだった。
「直樹くん! 直樹くん!!」
なにもできないあたしは、小川さんの後ろから直樹くんの名前をずっと呼び続けた。
直樹くんはそのまま手術室に連れて行かれた。
「直樹くん……」
赤く灯ったライトを見上げて、床に座り込んだ。
──あんな直樹くんを見たのは初めてだった。
「里佳ちゃん!」
「小川さん!? なおっ……直樹くんがっ!!」
屋上かっ、と投げ捨てるように言って、小川さんは階段を駆け上がった。
「直樹くん!」
あたしが屋上に着いた時。
あたしを追い抜いたお医者さんと小川さんが直樹くんを抱き上げて階段を降りるところだった。
「直樹くん! 直樹くん!!」
なにもできないあたしは、小川さんの後ろから直樹くんの名前をずっと呼び続けた。
直樹くんはそのまま手術室に連れて行かれた。
「直樹くん……」
赤く灯ったライトを見上げて、床に座り込んだ。
──あんな直樹くんを見たのは初めてだった。