Ghost Lovers

座席を握りしめたまま、呆然と見上げる私を置いて
両親はさっさと車を出ていく。
追いかけたいけれど、追いかけられない。

こんな怖い家は初めてだった。


「小町ー?」
「ホラ、降りてきなさいよぉ。」
「……むり…」



「無理ーーーーっ!!!」



無意識のうちに絶叫する私。

それを見て微笑む両親。


これも、いつものことだった。


「無理無理無理!!!ないない!!」
「あらあらー。いっつも小町はそう言ってー。」
「でも結局気に入ってくれるじゃないかっ」


な?と二人に微笑まれたって
私の顔は強張るばかり。
力を込めすぎた両手は、すっかり汗に塗れていた。

< 10 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop