Ghost Lovers
座席を握りしめたまま、呆然と見上げる私を置いて
両親はさっさと車を出ていく。
追いかけたいけれど、追いかけられない。
こんな怖い家は初めてだった。
「小町ー?」
「ホラ、降りてきなさいよぉ。」
「……むり…」
「無理ーーーーっ!!!」
無意識のうちに絶叫する私。
それを見て微笑む両親。
これも、いつものことだった。
「無理無理無理!!!ないない!!」
「あらあらー。いっつも小町はそう言ってー。」
「でも結局気に入ってくれるじゃないかっ」
な?と二人に微笑まれたって
私の顔は強張るばかり。
力を込めすぎた両手は、すっかり汗に塗れていた。