Ghost Lovers

鋭い爪がギラリと光る。
漆黒の毛深い片足が宙に浮いていた。

その先を辿ると……
案の定、あの金色の満月のような瞳。



「ろ、ろろ楼、さん。」



思わず妖怪相手にさん付け。
やっぱり狼の姿の彼は怖いのなんの。
大きく裂けた口から見える牙に、血の気が引けた。


「注意しろよ……。」


横を見れば、シャンデリアが
階段の上の方で砕けていた。
きっと楼が一瞬で、落ちてきたシャンデリアを蹴り飛ばしてくれたのだろう。

感謝はします。しますけど……


「ヒッ…!」


ギロリ、と睨まれて身をすくめる。
口から飛び出した小さな叫び声に、
楼は不機嫌そうに眉をひそめた。


「助けてもらってビビッてんじゃねぇよ。」
「す…すいませ、あり、がとう。」
「昨日食おうとしたこと、まだ根に持ってんのかぁ?」
「いや、別にそういうわけじゃ…。」


見た目が怖いだけです!

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