Ghost Lovers
昨日の夜の、凛と喜代の言葉が蘇ってくる。
確かに喜代もあの大きな龍の姿は無理…だけれど
普段、厳つくないもの。
けれど、今、一瞬にして人型に戻った楼は
整った顔立ちをしているとはいえ…
どこか狼の面影が抜けない。
「ここの物は古いから…気ぃつけとけ。」
「はーい…。」
いつか壊れるだろうと思っていたがけれど、
このタイミングに落ちてくるなんて。
もしかして…屋敷に嫌われてたりする?私。
唯一この空間の大きな灯りだったシャンデリアが消えると
より一層真っ暗。
どうにかしないと、まともに顔も認識できない。
「電気も買いに行かなきゃなぁ……。」
階段にへたり込んだままだった私に、
スッと手が差し伸べられた。
傍にいた楼の手かと思いきや……何だか想像以上に華奢。
「何をしている……楼。」
「凜!!」
私のすぐ頭上で聞こえてきたのは、
紛れもなく凜の声だった。