Ghost Lovers
この悪魔気配が無さすぎる!!
いつでも神出鬼没で、何だかんだで守ってくれてる…ような気がする凜。
華奢だけど大きな手に引かれて立ち上がった私は、
彼の影に隠されるような立ち位置。
何故だか楼を睨む凜の横顔が、凛々しく見えたり?
「別にー?事故から助けてやっただけだけど。」
「そうか。礼を言う。」
「ちょ、」
そんな過保護にされても!
と前に出ようとするが、凜の雰囲気に気圧されて
大人しく後ろに下がった。
「小町とこいつらを…こんなに早く会わすつもりはなかった。」
私にだけ聞こえるような、小さな小さな声で呟く。
どういう意味なのかよく分からなかったけれど…
出会ったとき、確かに庇ってくれた。
妖怪の世界の情勢なんて知らない。
でも、危険な世界なんだろう。
「あ、ありがとう楼さんも、凜も。
私…もう大丈夫だから、掃除するから、」
未だ睨みあったままの二人から逃れるように、
雑巾を手にしてその場を去る。
歩くたびに、カラン、と破片が鳴る音がした。