Ghost Lovers
ぐいぐいと強引な楼の手に引かれながら
急な下り坂の山道を走りぬけていく。
飛び出してきたせいで財布の中身も確認してないし…
しかも、パンプス。
この山道でこのスピードは私にとって辛い。
「ちょっと、もっとゆっくり…っ!」
「あ?そんなんじゃあ、いつまでたっても町に着かねえぜ。」
「はぁ?!」
私を振り返った楼は、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「お前、あの館が何物なのか知らねぇの?」
知ってるよ知ってますよ!!
妖怪とか幽霊とかそういう類の。
人類とはかけ離れた世界の住民専用の宿。
そう捲し立てると、
楼は何故かククッと喉を鳴らして笑った。
「そうだ。あそこは通常、人間厳禁――…
人間の足で辿りつけるような場所じゃあない。」
「つまり……町に行くのもフツーは二日三日かかるってことだ。」
……私の両親は一体何者だったんだろう。
と、今更ながらゾッとする。
まさか二人とも人外とか?!
そんなわけないよ。だって私が人間なんだもの。