Ghost Lovers


目を――付けられた?


その言葉一つで、背筋がゾクリとした。

スピードに振り落とされないよう、
必死で楼の背中に捕まる。
握りしめた両手に、汗が滲んだ。


「今日襲われたのがその証拠だ。
 あいつは人間の”生気”を吸い取る妖怪――」


ククッと喉を鳴らして笑い、
あれは不味かったと文句を呟く。



「まぁ、オレにとっちゃあ
 ただの低級妖怪だがなァ。」



でも、私はそんな妖怪に殺されかけたんだよ?
あんなにあっという間に、容易く。

もしもあそこに楼が来てくれなかったら
私、きっと――いや、絶対死んでた。


< 119 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop