Ghost Lovers

そんな私をまるで宥めるように
今更ながらぽつぽつと降り始める雨。
微笑む両親さえも、今は妖怪に見える。


「私たち、もう行かなきゃならないのよ。」


ね?と母は困ったように私の手を握った。
子供のように、あやすように。

すっかり腑抜けの私に、
いつの間にか父が荷物であるトランクを持たせる。
車の外にそのまま引きずり出されて、
洋館の前に駆り出された。


「頼む。頑張ってくれ。」


小町。



切なく呼ばれた名前に、振り返ると
申し訳なさそうな両親の姿。

……そんな表情されるとやっぱり困る。


グッと言葉を飲み込んで、
トランクを握りしめた。




「はぁ…分かったよ…。」


どうせこうなるんだから。

この家は今までの比では無いくらい
嫌な予感がするけれど……
私たち家族が生活していくには、今、この家しかない。

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