Ghost Lovers
私がニヤケてコーヒーを飲んでいると
突然、凜にしては珍しく
動揺したように立ち上がった。
ガタン!と打ち付けた拍子にテーブルが揺れ
眠っていた喜代がずり落ちる。
「っ…?!ちょっと凛くん邪魔しないでー…」
「凜、どうしたの?」
驚いたように目を見開き、
立ち尽くしている凜を見上げる。
彼は、眉間に皺を寄せてゆっくりと違う方向を向いた。
そっちは――…玄関ホール。
「凜…?」
(……砂糖入りのコーヒーがあたったとか…?)
私のあり得ない考えを掻き消すように
凜が低く、ぽつりと呟く。
「……妖だ。」
…え?