Ghost Lovers
目を開くと、そこは屋敷の廊下だった。
そこは丁度玄関ホールの後ろで、
扉の目の前に立つ凛の後ろ姿が見える。
私と喜代は見つからないように気をつけながら
上下に並んで様子を見る。
「ちょっ…喜代、乗っからないでよ…っ」
「いーじゃんいーじゃん…あ、来た。」
「え?!」
私の上に乗る喜代が、すっと指をさした。
するとギイィィ…と古びた大きな音が響き、
徐々に扉が開いていく。
「誰だろねー」
喜代のそんな呑気な声を聞きつつ、
何故だか私の心臓はバクバクと激しく波打っていた。
それはもちろん、自分の命がかかっているかもしれない問題だから。
(怖い妖怪じゃありませんように…!)
薄い望みを天に届けと願って、
目を凝らす。
「いらっしゃいませ。」
静かで、どこか凛々しい声が
ホールに響いた。