Ghost Lovers
雨は、さっきよりも強くなっていた。
嵐の中心のようなこの洋館。
分厚い雲からは、もうすぐ雷が鳴り出しそうだ。
「……入ろう…。」
ここにいても、仕方がない。
後数カ月もすれば、両親はここに帰ってくるのだ。
そうすればまた別の土地に行く。
ただそれまでの辛抱。
「住めば都、って言うしね。」
パチンっと自分で自分の両頬を叩く。
よし、と呟いて私は
目の前の怨念渦巻く洋館へ足を踏み出した――…
ギイィィイィ……
「お…お邪魔しまーす……って何言ってんだ。
ここ、もう私の家だし。」
想像通りの、古めかしい音。
重たくて豪華な扉を開くと、
生温かくて湿気の多い風が、ゆっくりと私の頬を撫でた。
「ヒィッ…!」
思わず上げる叫び声。
こんな調子では、たくさんありそうな部屋を
片付けるなんて無理そう。
……よくもこんな家を見つけてきてくれたものだ。
ほんと、心から親を恨みたい。