Ghost Lovers

中もやっぱりイメージ通りで、
広い玄関ホールに、砕けかけたシャンデリア。

中央にある階段は、まるでお姫様でも現れそうなのに、あまりにも暗い。
くすんだ絨毯が敷かれて、
その手すりは錆びている。


「酷…っ!何この家!!
 こんなのどうしようもないじゃん!」


カビ臭くて、生温かい。

しかもさっきから何か嫌な予感しかしない。


本来なら、きっと綺麗だっただろうな。
お城に迷い込んだような思いさえ抱くのに
この雰囲気はないよ!


「こんなの…リフォームできんの?
 売れそうにないよ……」


長期戦、その意味がようやく分かった気がする。


「はぁ……」


溜め息ばかりが漏れた。

でも息を吸うのも臭い。

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