Ghost Lovers
大嫌いだった世界
笑った。
貞子が、確かに笑っていた。
呆然として動けない私と向き合う貞子。
凜は何も言わず、私の後ろに付き添ったままだ。
「それ、って…どういう、」
言葉の真意を尋ねると
貞子は目を伏せて、小さな声で語り始めた。
「私…この、口だから…」
人間のみんなは、逃げてしまうから。
と、悲しそうに表情を歪ませる貞子に、
私は内心それはそうだろうと思った。
だって今にも、食べられてしまいそうな口をしているのに
誰が好き好んで関わろうとするだろうか。
しかし貞子は首を振った。
「私、元は人間なんです。」