Ghost Lovers
見失った空
窓の外から見える空は、
最近では珍しく曇りで、どんよりと暗い。
今にも降り出しそうな、
そんな天気だった。
「はぁ……」
叫んだって、何かが変わるわけでもない。
でも、叫びたくて仕方ない。
「小町ー?外ばっかり見てないで、
さっさと準備しなさいよ?」
「はーい。」
「小町ィ!!ワニのぬいぐるみは置いて行けよ!」
「そんなのとっくに捨てたよっ」
本当に何か月ぶりかに家に帰ってきた父と母は、
もう朝から上機嫌で
意気揚々と手際よく部屋を空にしていく。
対する私は、大きな荷物も無いので
トランク一つだけ。
どうせ、これもいつものことなのだ。