Ghost Lovers
カツン、カツンと
声の主たちが階段を下りてくる音が聞こえる。
すると、青年はまた深く私に覆いかぶさって
すっぽり隠すように抱きすくめた。
……そんなに見つかってはいけないのだろうか?
顔だけは階段の上を睨んでいる彼の髪が、
私の額に当たってくすぐったい。
「んーいないねェ…」
「どーせ癇癪起こした猫くらいじゃねぇの?」
「ふぁーあ…眠たいから帰ろぉ…」
信じられないが、さっきの瞬間移動といい
この彼の――…背中の羽根といい。
空き家のはずなのに、
たくさんの”モノ”の気配がする。
でも…人ではない。
(おかしいよ…この家…!!)
またカツン、と靴音が聞こえて
上の声たちは遠く去っていく。
それでも中々離してくれない彼の胸を
私は強く叩いた。
「ちょっ……苦しいってば!」