Ghost Lovers
今度は両肩を掴んで押し返そうとしたが
何故か青年はビクともしなくて
上を向いていた顔が、突然私に向き合う。
……ヤバイ。顔、近い。
「ヒッ…!」
声にならない叫びが洩れて
そしてまた塞がれる口。
私の口を手で抑えつけたまま
眉間に皺が寄った険しい表情で、睨む。
「うるさいな…その口、きけぬようにしてやろうか…」
「ん゛ーっ?!」
「うるさい女は嫌いだ。」
――綺麗な顔立ちしているけど…
(絶対性格悪そう!!!)
抵抗するようにブンブンと首を振ると
あっさりとその手は離れたが、
私の進路を塞ぐように片手を壁につき
もう片方の白くて長細い指が、私の首元に突き付けられた。
「俺や”アイツら”の声が聞こえて…しかも姿まで見えるとは。」
「ただの人間ではないようだな。」
ただの人間です!!只者です!!