Ghost Lovers
しかし、怯える私の心境とは反対に
「……そうは見えない。」
そう一言低く呟いて、
目の前の悪魔の手は、静かに離れた。
自由になった首が、まだドキドキして熱い。
「――しかし、何もなく迷い込んだわけではないだろう。」
白銀の髪が、私の目の前からフッと離れて揺れる。
理由を言えとばかりに、
見透かすような漆黒の瞳が睨んだ。
一体何でこんなところに悪魔がいるのか、
非現実的なモノがいるのかは分からないけれど
「私は、この家に住みに来たのよ!」
一瞬にして、ポカンと開かれた口。
対する私はグッと唇を噛みしめて、恐怖を堪える。
ヤバイ――…泣きそうだ。