Ghost Lovers
ペタン…と腰が抜けて立てないことを
悟られないように、怖いのを隠して気丈に振る舞う。
でもそれさえも、この悪魔には何かも見透かされていそうだ。
……こういうタイプ苦手。
「で…出てってよ…私の、家なんだから。」
弱々しくて説得力なんて全くない。
折角振り絞った声も、彼はただ笑うだけだった。
「お前は…ここが何か知っているのか…?」
片手で顔を抑えて笑いをこらえる悪魔の、
その指の隙間から見える瞳に
ゾクッと鳥肌が立つ。
「し、知らないけど。」
人間がいないってことはよく分かりますけど!
「ここは――…」
「”アヤカシ”のための…宿、といったところか。」
――アヤカシ?宿?
そう言うと悪魔は、背中の羽根を一本
ゆっくりと抜き取って
私の目の前にチラつかせた。