Ghost Lovers


ジワジワと滲んでくる涙。
ここで泣くと、悪魔に屈するようで嫌だ――…

でも、怖い。怖いものは怖い。



だってここ、もう人間の世界じゃない。

じゃあさっきの声に見つかったら
私はあっさり食べられていたわけ?


「ガ…ガブリ?」
「ペロリ、丸飲み。」



丸飲みーーーっ!!??



「妖の活動時間は基本は夜だ。
 よかったなァ……ククッ」

「俺のおかげだ。」



本当によかった。

私の叫び声で、神たちが起きてきたんだ。

この悪魔のおかげ…というのはどうも嫌だけれど
助けてもらったことは確かなようで。



「ア…アリガトウゴザイマシタ。」



俯く私の瞳から、ポタッと一粒涙が落ちた。
鼻をくすぐっていた羽根が、
私の涙を掬った。

< 31 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop