Ghost Lovers

――それから
ついてこい、と言われた私は
悪魔、凜の後をついて
無駄に広い洋館を探索していた。

……と言っても足音をたてないようにと
慎重に歩きながら。


「――で、仕事って何するの?」



ここは、通称”ゴーストホテル”。


歩けば歩くほど、怨念がどんどん濃くなって
私に纏わりつくような…そんな雰囲気がする。


やっぱりここには――妖怪がいるんだ。

まだ、姿は見ていないけれど。



「別に?仕事などない。」
「へ?」


この世のモノではない妖が、
居場所を求めてくる宿。

でもやっぱり全然姿は見えないけれど。



少ない荷物の入ったトランクをゆらゆらと揺らしながら
足元の古ぼけた深紅の絨毯を見つめる。
埃まみれで、このままでは
すぐ病気になってしまいそうだ。

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