Ghost Lovers
「じゃ…じゃあ、仕事って…」
「お金貰いに行く…だけ?」
コクン、と凛は頷いた。
(――そんなの、一人で出来るじゃん…。)
「まぁ、そうだな。」
「また心読んだーーっ!!」
「うるさいな…食われるぞ。」
それを言われて言葉を詰まらせる私。
気づけば、突然凛は歩みをとめた。
一階の長い廊下の、一番突き当たりの扉。
「ここが――…お前の部屋。」
「あーどうも…」
「隣は俺なんでよろしく。」
「え゛。」
この変態のことだから、いつ何をしてくるか分からないよ。
「部屋は勝手に掃除しろ。」
「はーい…」
言い残して、凛は背中の羽根を広げて
どこかへ消えてしまった。
残された私は、歩いてきた長くて暗い廊下をじっと見つめる。
ここまで、古ぼけたろうそくの明かりしかない。
一階にも部屋はいくつもあったけれど
物音一つしなかった。
「……やっぱり、ここにたった一人の方が無理だったかも…。」
今更ながら、そんな風に思った。