Ghost Lovers

ギイィイィ……と案の定、古ぼけた扉の音。
チョコレートのような形をした扉は
突き当たりに窓があるからか
他の部屋よりどこか明るかった。


「し…失礼しまーす…」


先客がいましたー…とかやめてよね。



嫌な想像をしつつ、恐る恐る部屋の中を覗く。
思ったよりも広い内装は、
予想通りの洋風で、玄関ホールよりまだ綺麗だ。


「……誰も、いない。」


ホッと胸を撫で下ろす。

まだ安心はできないけど…。


ベッドと、机とクローゼット。
家具はほとんどそれだけで
どれも年期の入った木製のものだった。

でも、ベッドのふとんだけは
何故か新品みたいに綺麗。


「何でだろう?」


床の絨毯は、やっぱり深紅で古い。
天井や床にも蜘蛛の巣があったりして
ボロボロなのには変わりはないけれど、
ここは角部屋だからか大きな窓がある。


「ちょっとは気が利くじゃん……。」



――少しは気を使ってくれたのかな?

なんてあの悪魔に考えて
まさかね、と自分で笑いがこみ上げた。

< 43 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop