Ghost Lovers
ギイィイィ……と案の定、古ぼけた扉の音。
チョコレートのような形をした扉は
突き当たりに窓があるからか
他の部屋よりどこか明るかった。
「し…失礼しまーす…」
先客がいましたー…とかやめてよね。
嫌な想像をしつつ、恐る恐る部屋の中を覗く。
思ったよりも広い内装は、
予想通りの洋風で、玄関ホールよりまだ綺麗だ。
「……誰も、いない。」
ホッと胸を撫で下ろす。
まだ安心はできないけど…。
ベッドと、机とクローゼット。
家具はほとんどそれだけで
どれも年期の入った木製のものだった。
でも、ベッドのふとんだけは
何故か新品みたいに綺麗。
「何でだろう?」
床の絨毯は、やっぱり深紅で古い。
天井や床にも蜘蛛の巣があったりして
ボロボロなのには変わりはないけれど、
ここは角部屋だからか大きな窓がある。
「ちょっとは気が利くじゃん……。」
――少しは気を使ってくれたのかな?
なんてあの悪魔に考えて
まさかね、と自分で笑いがこみ上げた。