Ghost Lovers
「さてと!まずはこの部屋からだなっ」
一人で呟いて、持参したほうきを持ち出す。
ほうきも雑巾も…もう使い古されて大分古いけれど
掃除道具だけは、本当の私のことを知ってくれているような気がして
やっぱり大切。
「捨てらんないよね……」
キュッキュッとクローゼットや机の上を拭きながら
段々部屋が綺麗になっていくたびに
私の心も洗われる気がする。
一人で何だか嬉しくて
微笑みながら掃除していた私の背後で
また突然声がした。
「一人で笑いながらとは……頭、大丈夫か?」
「ちょっ…!凜!」
その人物は、やはりというか凜。
いつの間に入ってきたのか、物音ひとつしなかった。
「ノックくらいしてよ!」
私の手の雑巾を物珍しそうに眺めては
ジロジロと部屋を見回す。
「早速掃除か…物好きな女だな。」
「うるさいなぁ…もう。」
もう嫌だこの悪魔!