Ghost Lovers
「だが――…」
「この妖の世界に引き込んだのは、俺だ。」
バチッと、凜の真剣な視線と目があった。
背中の羽根に人間じゃない、と実感させられても
怖くても――…何で、そんな優しそうな顔ができるの?
「他の妖怪に食わせやしないよ。」
―――悪魔のくせに。
「俺が…お前を守る。」
やっぱり、この雰囲気にのまれておかしくなってしまったんだ。
ドキドキする心臓が、ウルサイ。
そんな言葉、嬉しいなんて思ってない。
「……お、お前じゃなくて小町だし。」
凜は、そのままくるりと振り返って
部屋を出て行った。
「あァ……そうだな、小町。」
その直前に、柔らかい微笑みを残して。