Ghost Lovers
私はムスッと頬杖をついて
窓の外を眺める。
今にも降り出しそうなのに降らない雨。
暗い空が、まさしく今の私を表しているみたいだった。
「今回はなー。
ちょっと長期戦になりそうなんだ。」
のんきに鼻歌を歌いながら、父が言った。
家にも地域にも飽きてしまう二人が
長期戦だなんて珍しい…。
そんなことを思いながら、
まぁどうせ私だけ住むんでしょ、と
私は呟いた。
「うふふ。いつもの通りよろしくね!」
「またリフォーム業者を見つけて、迎えに行くからな。」
「ん…。」
徐々に、睡魔が襲ってきて
瞼が重たくなってくる。
二人の話声が、頭の奥でぼやけて響く。
”今回は難しいだろうなぁ…”
難しい…?何が?
”そうねぇ…小町にも頑張ってもらわなきゃ”
いつも頑張ってるよ!
”何せ…『ようかん』だからな…”
よう…かん…?羊羹?
――あぁ、眠たい。
そこで私は、窓にもたれたまま意識を手放した――…