Ghost Lovers
紫紺

龍と狼






「……っはぁ~…」


ボフン、と私の体重で潰れるふとんの音がした。
思わず溜め息が漏れる。

部屋の掃除は一通り終わった。
後でこのくすんだ絨毯を変えたいな――…と計画を立てつつ
とりあえず一休み。


まだ新しい、陽だまりの香りがするふとんに寝転ぶと
さっきの凜の言葉が、頭に蘇る。


「…嫌、じゃなかった…よね…。」


他人に”守る”なんて言われて。
嬉しくないわけがないけれど――…
あのときの凜の、少しだけ切なそうな顔が忘れられない。



こんなところに、たった1人。
お客さんは、大抵2人。

…なんて閑散としたホテルなんだろう。
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