Ghost Lovers

「僕の名前は喜代(キヨ)。この山の川の神だよ~」


(この子が…凜の言ってた龍神…!)


ちっともイメージしていた恐ろしい龍…の面影はなくて
幻想的で、不思議な雰囲気だけを残した普通の人間に見える。
その甘いベビーフェイスに酔いそうだ。

呑気そうに笑う喜代は、本当にただの少年。
凜もそうだけれど…妖怪って実はみんなこうなの?


「でも珍しいなーぁ。僕が見える人間なんていつぶりだろう!」


会えて嬉しいよ、と微笑んで
スッと白くて透き通った手を差し出される。
その手の甲にも、どこにも龍のウロコ…なんてものはない。

あまりにもフレンドリーで、優しい雰囲気を纏った少年だから
私も思わず、恐る恐る手を差し出す。




「本当に……久しぶりだ。」




手を握り返した喜代の笑みが、雰囲気が、
一瞬変わったような気がした。



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