Ghost Lovers
掴まれていたはずの手も、気づけば
大きな龍の手。
(凜っ…!)
叫びたいのに、声が出ない。
金の龍の手が、ふわりと浮いて
浮遊感が私を襲う。
「僕は狼男なんかと違って丸飲みなんかしなーいよ。」
ギュッと目を瞑った私の背後で、
ガツン!と激しい靴音がした。
「オイオイオイオイ……」
「あーーーっ!」
「誰が丸飲みだコラ。」
呆れたような、声色。
男の声だけれど、凜ではない。
また別の妖怪―――?!
「もう!邪魔しないでよ、楼(ロウ)くん!」
大きく開いて、牙の光る龍の口からは
変わらない喜代の高い声が響いた。
……顔に似合わず、というか。