Ghost Lovers
これで来てくれなかったら、
アイツは悪魔じゃなくて鬼だ!!
そう思いつつ、この一瞬に賭ける。
どうか、私の叫びが天まで通じてますように。
もう誰でもいいから助けて―――…っ
「――オイ。」
聞こえた。
鬼でも悪魔でもなくて、今は天使の声だ。
「俺の従業員に何か御用ですか?」
ゆっくり瞼を開くと、私に背を向けて
その背中の漆黒の羽根で羽ばたく彼の姿があった。
真っ黒のスーツ姿。
腕を組んで、後ろからなので表情は見えないが
声色からきっと笑っていることだろう。
――あの、嫌味な笑みが想像できる。
「凜っ!」