Ghost Lovers
私の目の前――私を覆い隠すように羽ばたく凜。
彼が現れた瞬間、
今にも私に襲いかかろうとしていた二人の妖怪は
ピタリと動きを止めた。
砕けそうなシャンデリアに咄嗟にぶら下がった狼男、楼は
ゲッ、と声を漏らして
心底嫌そうに顔を歪める。
「凛くん……。」
溜め息混じりの、残念そうな喜代の声。
私は掴まれたままホッと胸を撫で下ろす。
そのままシュウゥ…と彼の龍としての姿は縮んでいき
金のうろこも消え失せた。
ようやく床に降り立った私と、
人間の姿をした喜代、その隣に楼。
その真ん中に立ち塞ぐ凜が、今は本当に天使に見えた。