Ghost Lovers
「どうもおはようございます。
珍しく……早いんですねぇ…。」
(わー…絶対凜くん起こってるー…)
ニコニコと微笑む喜代の額に、冷や汗が流れる。
禍々しい凜のオーラを取り払うように
わざと喜代は明るく声をかけた。
「じゅ…従業員って…この子、ここで働くの?!」
「あァ……小町だ。」
喜代と楼が、目を見開いて私を凝視する。
すっかり凜の背中に隠れた私は
その視線さえも怯えて逃れた。
「でも、コイツ人間じゃねぇか。
ハッ!凜も物好きだなァ?」
楼が、嫌味ったらしく笑う。
嘲笑うように鋭い爪先を、凜に向けた。
「人間に釣られた妖怪共で、ここも遂に大繁盛じゃねぇの?」
生きてればの話だが、と続ける言葉に
ギュッと私の心臓は高鳴る。
これからもまだまだこんなことがあるのかと思うと
気が遠くなった。
私、明日生きていられるのかな――?