Ghost Lovers
「…っていうか、凜!
さっき”俺の従業員”って何よ!」
スルッと凜の脇から抜け出して
彼を指さしながら叫ぶ。
思い出すと、何だか顔が火照って仕方がないから!
「それがどうかしたのか。」
「俺のって…別に凜のじゃないし!
むしろこの屋敷の所有権は私にあるんだからね!」
すると、黙って聞いていた楼がケタケタと笑いだした。
彼の犬歯は怖いので、思わず一歩後ずさる。
「そうなのかァ、小町!
凜、人間が主人とは、この屋敷も廃れたなぁー?」
「うるさい。」
凜は軽く楼を睨みつけ、
その視線はそのまま私の方に向けられた。
口元は、あの嫌味な笑顔。
「妖怪に助けられる主か……
笑わせるよな。」
「なっ……!」
勝ち誇ったようにフン、と鼻を鳴らす。
私は人間なんだ!
あんな妖怪に敵うはずないから!