Ghost Lovers
――あの死ぬような思いをした数時間前のご対面から
喜代はやけに馴れ馴れしい。
今だって、まともにお風呂も入れないまま
眠ろうとしている私の部屋に
隙さえあれば乗り込もうとしてくるのだ。
「無理でしょ。食べる気でしょ。」
疑り深い視線を向けても、
彼は純粋そうにキラキラと目を輝かせて
ううん、と首を振った。
「ただ僕は小町ちゃんと親交を深めたいだけー。」
「嘘だぁ!」
ただでさえ古ぼけた扉が
ギシギシと今にも壊れそうな音を立てる。
つい躊躇してしまい、一瞬力を抜いたところを
喜代はお構いなく部屋に飛び込んできた。
「わっ…!ちょっと!」
「いぇーい。潜入成功~。」
反動で床に倒れた私の上に、
無邪気に馬乗りしてくる喜代は、
本当に鬱陶しい。