Ghost Lovers
「……」
「……」
訪れる気まずい沈黙。
待って。そこで二人とも黙らないでよ!
何で今のタイミングで鳴るのかな。
最悪。恥ずかしすぎる。
「あははっ!大音量だったねー!」
「ちょっ…恥ずかしいから!」
きっと今、私はさぞかし真っ赤な顔をしているだろう。
だって、仕方ないじゃん!生理的現象だ!
気がつけばそのまま喜代の手に引かれて
またキッチンに逆戻りしていた。
腕を組んで、笑いを堪える凜の視線が辛い。
「ククッ…腹が、減ったのか。」
「え、あ……ハイ。」
ぎこちなく返事をすると、
凜は何も言わずに私に背を向けて、
冷蔵庫の扉を開けた。
(……ん…?何、あの黒いの…)
ふと、凜の右手を見れば
何か黒々とした霧のようなものが纏わりついている。
決していいものではないと――すぐに感じられた。
邪気が大量に込められているような、そんな霧。