Ghost Lovers


「……」
「……」


訪れる気まずい沈黙。
待って。そこで二人とも黙らないでよ!

何で今のタイミングで鳴るのかな。
最悪。恥ずかしすぎる。


「あははっ!大音量だったねー!」
「ちょっ…恥ずかしいから!」


きっと今、私はさぞかし真っ赤な顔をしているだろう。
だって、仕方ないじゃん!生理的現象だ!


気がつけばそのまま喜代の手に引かれて
またキッチンに逆戻りしていた。
腕を組んで、笑いを堪える凜の視線が辛い。


「ククッ…腹が、減ったのか。」
「え、あ……ハイ。」


ぎこちなく返事をすると、
凜は何も言わずに私に背を向けて、
冷蔵庫の扉を開けた。


(……ん…?何、あの黒いの…)


ふと、凜の右手を見れば
何か黒々とした霧のようなものが纏わりついている。
決していいものではないと――すぐに感じられた。

邪気が大量に込められているような、そんな霧。

< 82 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop