Ghost Lovers
「悪魔の…力…?」
そう、と喜代は頷いた。
口元は笑っているけれど、雰囲気は…笑ってなんかいない。
「あの霧は生き物の“命”を奪うものだ。」
「命…っ?!」
「冷蔵庫の中の虫を殺しているんだろうけど…」
「あの霧に触れると、小町ちゃんは死んじゃうよ。」
鳥肌が立った。
だから、さっき喜代は
私を助けてくれたんだ。
その間にも凜の黒い霧は徐々に薄れていく。
未だ肝心の冷蔵庫の中は見えないけれど…。
テーブルの上に立つ喜代は私の視線に気が付いたのかこちらを見て微笑んだ。
「凜くんは悪魔だ。」
「他人を幸せにしたくても、そういう“力”を使えないから――…」
怖がらないであげてね。
私は、頷くことしかできなかった。