Ghost Lovers

私を見ない、凜の背中が痛い。
その背にある悪魔の羽根が、どんな言葉もリアルにする。


「そっ、か。」


凜がかざしていた右手を、グッと握り締めた。
すると今まで唸っていたあの声が、
ピタリと止む。

その真っ黒な跡を、喜代の光が清めて
またそこも美しくなる。


いつの間にか、今までの廃墟と化したキッチンはどこにもなく
元の姿を取り戻した、広い空間に変わっていた。

すごい、

その一言が自然と私の口から洩れる。


「でしょー?僕のおかげ?!」
「黙れ蛇。」
「酷い凛くん~」


何でもないような二人のやり取りが、嬉しかった。
さっきまで、力を使っていた時のような
禍々しい雰囲気が、凜から消え失せていた。

あの時の凜は、怖い。

嫌いだ。

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