Ghost Lovers
さっきまでの、どこか微笑ましい顔ではなくて
眉をひそめた真剣な顔をした凜が言った。
「楼には…気をつけろ。」
「え…?」
あの、狼男?
喜代に対しては、そこまで否定をしなかったのに
どうして彼にはそんなに真剣なんだろう。
隣の喜代も眉を顰めて頷いていた。
「楼くんはねー正真正銘の妖怪だから。」
「どういう、」
「分からないのか。」
呆れたような凜の物言いに思わずムッとする。
喜代の”正真正銘の妖怪”という言い回しが
今の私にはよく分からなかった。
だって、目の前のこの二人も妖怪なのに。
「あいつは、獣だ。」
「理性なんて、あってないようなものなんだよー。」
獣=ケダモノ?
「そー…なん、だ?」
まだまだ妖怪の世界には謎が多そうです。