Ghost Lovers
――何故だろう。
私の部屋以外、この屋敷はどこも薄暗い。
朝なのには変わりないのに
歩いてきた廊下も、今いる玄関ホールも暗いのだ。
…違う場所に来たみたい。
と、ほうきで床を掃きながら何気なく思う。
いくら朝でも、ここが不気味なのには変わりない…ということか。
「改造してやるんだから。」
所々にある銅像とはいつもいつも目が合う。
やっぱり怖い。不気味。
「やだ…これ、撤去してほしいな。」
昨日の夜に大分広範囲を掃除したので
この玄関ホールは見違えるほど美しくなっていた。
…妖怪相手、しかもほとんど客なんてこないけど。
「綺麗になりすぎてゾンビなんて寄りつかないでしょ……っ、と。」
叶うかどうかも分からない願望を呟きつつ
今度は無駄に長い中央階段を磨いていく。
頭上にぶらさがっているシャンデリアが、
古くなってキシキシと音を立てていた。
「危ねぇっ!!」
「え――…?」