王子様のKiss

おそらく帰る所だったんだろう。
足を一歩出して、帰りそうなとこだった。
しかも、足先が…
俺の帰る方向と…

同じ…!

「…」
「…;」


夢夏は気まずそうな顔をして、そそくさと歩いていった。

…俺もそっちなんだけどな…
仕方なく同じ方向へと足を進めた。





……っ!

…なんだこの無言!?
それになんだこの距離!?
無駄に近くて、無駄に遠い…
距離を抜かせば、隣にいるようなもんだ。
つまり、道の端と端を歩いている状態。

…この空気。

……耐えらんねぇっ!


「…なぁ」
「!?…はい?」

いきなり声を出したせいで、夢夏の体がびくっとなる。

…てか、俺自身…
…話したいことはあるけど、話すことねぇ…
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