王子様のKiss
この着信は私にとって、
運命を帰る出来事だった。
「チッ…出れよ。」
潤が冷たく私に言う。
私はその冷たい声と怒りの篭った舌打ちに怯えた。
私は震えながらも、指でボタンを押した。
そして、耳に携帯を当てる。
『夢夏?』
「奈美ちゃ…」
うまく声が出なかった。
『どうしたの?』
「助け…」
『何?喧嘩!?』
そう電話の向こうで声を上げる。
私は不思議に思った。
……やけに近い場所で聞こえた気がした。
「奈美ちゃん…?どこに…」
『ちょっと待ってて!今行くから!』
私の言葉を遮る、声を張り上げる。
え…
今?
そう思った時、
ドアが勢いよく開く。
「夢夏!大丈夫…って、え…?」
奈美ちゃんだった。
奈美ちゃんは私たちを見るなり驚き、顔を歪める。
そして、現状を把握したのか、怒りの表情が浮き上がる。
部屋にずかずかと入ってき、やばい…と思った時にはもう、奈美ちゃんがバックで潤を殴ってた。
「痛っ…」