恋愛詐欺‐高校生‐




緩やかだけれど気が遠くなるほどの長い坂道は、少し私の息を弾ませた。



「ここを全部登りきって、左側にある建物が学校だよ。あ、自己紹介まだだったね。私は朝美だよ。趣味は髪を触ることかなぁ。皆なかなか理解してくれないけど、なんだか癖なんだよね。」



はにかんだ笑みを私に浴びせて、気にしないでねと補足した。



「私は麻亜弥って名前です。髪触るのが趣味って朝美ちゃんだと納得するかも。だって髪綺麗だし。」



さりげなく誉めてみた。



「ありがとう~。困ったときは私に何でも言ってね。」



そう言って朝美は顔を私の方に向けて、肩を抱いた。



私の制服とは違って、朝美の制服は着慣れて形もすっかり朝美の身体にフィットしたものになって、よれよれと言う言葉がぴったりだったけれど、その制服と共に過ごした日々がその制服に刻まれている気がして、少し羨ましくなった。












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